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53 尿路結石症による痛み

食事の偏りなどが発症誘引

そいつは突然やってきた。五年ほど前のことではあるが、「尿路結石症」による激痛に苦しめられた経験がある。背部の鈍痛と血尿とを自覚して泌尿器科を受診したところ、「腎臓(じんぞう)に石があるので、近いうちに体外衝撃波による破砕術(ESWL)を」と指示された。

その数日後、私はA医院で診療を担当している最中に激痛に襲われたのである。身もだえする痛みだった。通常の鎮痛処置ではいかんともしがたく、急遽(きゅうきょ)診療を中止して救急車を呼んでもらった。担架で運び出され、B病院へと搬送されるに至った。阪神高速で十分程度の距離だったのだが、道路の継ぎ目からの振動に同期してすさまじい痛みが起こり、数時間にも感じられた。病院到着後、背中から硬膜外チューブを挿入してもらい、持続硬膜外ブロック(局所麻酔薬を注入する)を始めたところ、痛みはうそのように消えた。続いて泌尿器科でESWLを受けたが、痛みは全くなかった。

尿路結石症は確実に増加している。最新の統計では三十年間でほぼ倍増しており、その生涯罹患(りかん)率は男性が9.4%、女性が4.1%とされている。発症誘引としては、食事の偏りや運動不足が考えられる。痛みは、石が腎臓から尿管へ移行して詰まったりした際に起こる頻度が高い。尿の通過障害を起こし、尿管の痙攣(けいれん)を誘発することで、腎臓内部の圧力を急激に上昇させて七転八倒の痛みを生じるのである。同じく、石が尿管膀胱移行部に詰まった場合にも強い痛みが発生する。

結石のサイズが八㍉未満の場合には、自然に排出される可能性があるので、水分を多く摂り、縄跳びなどの運動を心がける。八㍉以上のものに対しては、ESWLが第一選択となる。尿酸やシスチン結晶によるものは、薬物による溶解が可能だが、最も多く見られるシュウ酸ならびにシュウ酸カルシウムによる結石は溶解できない。

痛みに対しては、鎮痙薬(臭化ブチルスコポラミン)と非ステロイド性消炎鎮痛薬(ケトプロフェン)の併用、漢方薬の芍薬甘草湯の投与などが推奨されるが、私が受けた持続硬膜外ブロックに勝るものではない。この持続硬膜外ブロックは、痛みを取り去るのみでなく、尿管の痙攣を抑えて石の自然排出を促す作用もあるのだ。なお、志室と呼ばれるツボ(第二腰椎棘突起から指四本分外側)への指圧や鍼治療によって瞬時に痛みが消失したとする報告もある。

(森本昌宏=近畿大麻酔科講師・祐斎堂森本クリニック医師)

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