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Dr. Morimoto’s pain clinic ドクター森本の痛みクリニック

63 筋・筋膜性疼痛症候群

血流の滞りや乳酸蓄積が引き金

ペインクリニックを受診される患者さんの30~85%が「筋・筋膜性疼痛症候群」であると報告されている。また、原因不明ないしは心因性とされる慢性疼痛の多くが、本症候群に由来する可能性も指摘されている。女性に多く、頭部、頚部~肩、腰部などにうずくような鈍痛を生じる。なお、頚椎疾患では後頚部~肩の筋肉に、腰椎では脊柱起立筋に二次的な筋肉の緊張を引き起こす。さらには、難治性の癌性疼痛が本症候群による場合もあるのだ。

筋肉の虚血(血流の滞り)や乳酸の蓄積によって起こる「局所の筋肉の緊張」が原因である。筋肉は収縮、弛緩とのサイクルを繰り返しているが、血液が十分に供給されない、そのサイクルが正常に回らない場合に痛みを発生するのである。

診断にあたっては、筋肉内のかたまりであるトリガーポイント(圧痛点)を確認する。この部位には痛みを伝える末梢神経の先端が多く存在することから、圧迫や鍼による刺激で関連痛や筋肉の痙攣(けいれん)を誘発する。この関連痛は内臓疾患によっても生じる。例えば、肝臓、胆嚢(のう)疾患では右肩、心臓の異常は左肩、尿路結石症では腰部の筋肉に痛みを起こすのである。

トリガーポイントの多くはツボと一致することから、本症候群の一部にツボの名前を当てはめることがある。眼の奥に痛みを伴う頭痛は「天柱症候群」、肩凝り症は「肩井症候群」ないしは「肩外兪症候群」、肩甲骨の内側では「病膏肓(やまいこうこう)に入る」の「膏肓症候群」といった具合に、である。

私どもの施設では、局所注射を治療の第一選択としている。これにより痛みの悪循環を遮断し、血流を改善して、炎症物質を一掃するのである。加えて筋肉の弛緩作用を持つエチゾラム(本来は安定剤として使用される)や漢方薬を投与する頻度が高い。最近の研究では、食中毒の原因菌であるボツリヌス毒素(既に顔面痙攣の治療に用いられている)の局所注射の有効性が確認されているが、一般的な使用にはいたっていない。

(森本昌宏=近畿大麻酔科講師・祐斎堂森本クリニック医師)

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