ドクター森本の痛みクリニック

Dr. Morimoto’s pain clinic ドクター森本の痛みクリニック

12 後頭神経痛

目にも症状が現れる発作痛

緊張型頭痛と区別しなければならない疾患に、後頭神経痛がある。後頭部の下方から上方、または耳の後部に向けて放射する痛みが生じる。頭皮の表面に痛みがあるように感じ、ひどいときには髪にくしが触れただけで痛みが誘発される。緊張型頭痛は頭部全体が締めつけられるような持続痛が特徴だが、後頭神経痛の多くは後頭部に限られる片側性の発作痛である。まったく無症状のときもある。
 後頭部~耳の後部の知覚は大後頭神経、小後頭神経、大耳介神経などによって伝えられるが、このうち大後頭神経は第二番目の頸神経の枝で、他の二つの神経は頸神経叢から出る。大後頭神経は外後頭隆起(後頭骨下部中央の骨のでっぱり)の外側二・五センチ、小後頭神経はさらにその外側二・五センチから上に伸びているため、下方から放射されるように痛みが走る。診断の際は、これらの神経の出口を圧迫して、痛みの再現をみることが重要である。
 後頭神経痛は、原因不明の特発性と二次性に分けられるが、特発性のものは極めてまれである。二次性のものは腫瘍【しゅよう】、炎症、外傷、痙性斜頚【けいせいしゃけい】、変形性頚椎症、頚椎椎間板ヘルニアなどによって引き起こされ、首の運動、咳、くしゃみでの痛みの増強をみることが多い。
 なお、後頭部に痛みがある場合に、目の奥の痛み、目の疲れ、まぶしさを同時に自覚することがあるが、これは大後頭神経三叉神経症候群(great occipital trigeminal syndrome)である。一般的には、その頭文字をとってGOTS(ゴッツ)と呼んでいる。このGOTSは、後頭神経の興奮が、三叉神経の第一番目の枝に伝搬して(cervico trigeminal relay)、さまざまな目の症状を引き起こすのである。後頭神経痛だけでも十分に辛いが、目の奥まで痛くなるのは、まさに「弱り目にたたり目」と言えよう。
 ペインクリニックでは、後頭神経痛に対しては後頭神経ブロック(局所麻酔薬と少量のステロイド薬を注入する)、GOTSには眼窩【がんか】上神経ブロックを追加して行っている。また、「風池」【ふうち】(大後頭神経の出口に一致する)というツボへの鍼治療も有効である。
(森本昌宏=近畿大麻酔科講師・祐斎堂森本クリニック医師)

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