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Dr. Morimoto’s pain clinic ドクター森本の痛みクリニック

90 スポーツ障害(上)

使い過ぎによる膝関節の痛み

スポーツの秋である。しかし、運動のし過ぎによって筋肉や骨、関節に傷害を起こすことがあるので注意が必要だ。これらのスポーツによる傷害のうちで、一定の運動を続けていることで生じる異常を「スポーツ障害」(使い過ぎ症候群)と呼ぶが、最も多く見られるのが膝(ひざ)の痛みである。代表的なものを紹介しよう。

ランナー膝…トレーニング方法の誤り、靴の不適、下肢のわずかな変形などが引き金となる。このうち思春期~二十五歳の女性で、スポーツを始めた初期に多く見られるのが「膝(しつ)蓋(がい)軟骨軟化症」である。膝蓋骨(膝のお皿)の軟骨にかかる圧力の不均衡が原因と考えられている。階段の昇り降りなどの際に、膝蓋骨周囲、特に内側に痛みを生じる。また、ガクンと力が抜ける“膝折れ”を見ることもある。ペインクリニックでは局所麻酔薬の関節内注射などを行っている。

ジャンパー膝…走り幅跳びなどジャンプ競技やバスケットボール、バレーボールの選手に多く見られ、膝蓋骨の上方と下方に痛みを生じる。膝を伸ばす機構に繰り返して負担がかかることで起こる膝蓋靭帯(じんたい)炎や大腿四頭筋腱炎が原因となる。安静が原則であるが、練習前後の入念なストレッチ(大腿四頭筋を中心に)やアイシングも有用である。私どもの施設では、局所麻酔薬と副腎皮質ステロイド薬の局所注射により対処している。

オスグッド病…ジャンプやスキ―など膝に負担がかかる運動を続けている小学校高学年~中学生(骨の成長期)に多く見られる。膝蓋骨の少し下方にある脛(けい)骨粗面(膝蓋靭帯が付着する部位)が繰り返し引っ張られることで発症する。成長期では、この脛骨粗面にはまだ軟骨が多く、弱いために、引っ張られると骨や軟骨がはがれて突出してしまうのである。したがって軟骨が骨化する十八歳ごろに症状は消失する。また、このオスグッド病よりやや年長の少年に見られる「シンディング・ラーセン―ヨハンソン病」でも膝蓋骨の下方に痛みと腫れを引き起こす。

(森本昌宏=近畿大麻酔科講師・祐斎堂森本クリニック医師)

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