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Dr. Morimoto’s pain clinic ドクター森本の痛みクリニック

91 スポーツ障害(中)

肘の痛みはマッサージせず安静に

今回はスポーツなどで肘(ひじ)を使いすぎることによって生じる痛みについて紹介する。

テニス肘…テニスプレーヤーの約65%がこの痛みを経験しているとする統計がある。四十歳以上の主婦に多く見られるが、特に三十歳以降になってテニスを始めた方で高率に発生する。

細すぎるグリップ、硬いガットも誘因となる。バックハンドストロークで生じやすい外側傷害型、フォアハンドでの内側傷害型に大別されるが、外側傷害型が多く、初心者やウイークエンドプレーヤーで多発する。手首を背屈すると肘の外側に痛みが誘発され、タオルが絞りにくくなり、水道の蛇口を回せなくなる。一方で、内側傷害型は熟練者に多いそうだ。

昭和大学麻酔科の増田豊教授のテニス好きは、私たちの学会でも有名だが、過去に二回、このテニス肘に苦しめられたそうである。増田先生曰く「スライス打ちなら大丈夫」とうそぶいておられるが、どうだろう。

また、日常的によく手を使う主婦、タイピストやピアニストでも同様の症状をみることがある。

野球肘…野球の本場米国では、一九四一年、野球選手の肘の変化をベースボールエルボーとして報告している。投球動作を繰り返すことで上腕骨に付着する筋肉や靭帯(じんたい)に炎症を引き起こす。投球により痛みが誘発されることが特徴であり、前腕を走る尺骨神経が圧迫されることによる肘(ちゅう)部管症候群をきたしていることもある。

なお、少年野球などで十五歳以前に肘を酷使すると、まだ成長していない骨の端がはがれるリトルリ―ガーズエルボー(離断性骨軟骨炎)となり、無理を続けると変形をきたすので注意が必要だ。

ゴルフ肘…ゴルフなどの強力なグリップ動作を要するスポーツで発生する。ゴルフでは、ダフリを繰り返すことで起こり、肘の内側に痛みを生じる。

以上の痛みに対する治療の原則は安静であり、安易なマッサージは避けるべきである。ペインクリニックではトリガーポイント注射を行っているが、初期であれば一回の治療で痛みが無くなることも少なくない。

(森本昌宏=近畿大麻酔科講師・祐斎堂森本クリニック医師)

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